原告著作物5話7頁~10頁類似点
原告著作物5話7頁~10頁(2016年)
被告著作物1巻3頁~6頁(2019年)
【検証記録1:根本的キャラクター設定、およびジャンル呼称における高度な符合に関する対照分析】
【主題】
「霊が見えるだけの主人公による、徹底した無視行為」という特定のキャラクター・物語設定、および「ホラーコメディ」という特異なジャンル呼称の一致に関する整合性検討
原告著作物『妖異可視ビジブル』(2015年発表)および被告著作物『見える子ちゃん』(2018年発表)における、物語の根本に関わるキャラクター設定、ならびに作品を紹介する際のアプローチについて対照分析を行う。 本検証では、単一のエピソードの一致にとどまらず、【①キャラクターおよび物語の根本設定 → ②ジャンル呼称「ホラーコメディ(ホラコメ)」の採用とタイムライン → ③作品紹介文における「新感覚」の矛盾】という複数のレベルにおける高度な符合について整理・提示する。
1. キャラクターおよび物語の根本設定の一致
両著作物において、物語を駆動する根本的な設定が著しく合致している。
- 主人公の能力: 双方とも、怪異を視覚化できる「霊感」という特殊能力を持っている。
- 能力の限界: しかし、除霊、攻撃、あるいは怪異との対話といった、「見る」こと以外の能力は一切持たず、実質的に「無力」である。
- 主人公の行動(物語の核心): 霊から精神的圧迫(焦燥感、恐怖感)を受けながらも、霊を徹底して「無視する」という行動をとる。この無視行為によって状況をやり過ごす、あるいは笑いを誘うという描写が、物語の核心的な面白さ(表現構造)となっている。
2. ジャンル呼称「ホラーコメディ」の採用とタイムライン
両著作物において、作品を定義するジャンル呼称、特にマイナーであった用語の採用において不自然な符合が認められる。
- 原告著作物の採用: 原告は、2015年の発表当時、国内の漫画ジャンルとしてはあまり一般的ではなかった「ホラーコメディ(ホラコメ)」という紹介文(キャッチコピー)を採用した。これは、ホラーとコメディの融合という、当時の漫画表現としては比較的ニッチな試みであることを意図したものである。
- 被告著作物の採用: それから3年後の2018年に発表された被告著作物においても、その第1巻の紹介文には「微ホラー新感覚コメディ」という記述があり、「ホラー」と「コメディ」の組み合わせが作品の核心であることが言語化されている。
- タイムラインに基づく分析: 被告著作物が発表された2018年時点においても、「ホラーコメディ」というジャンルの国内漫画は依然として少数であった。したがって、原告作品が3年前に採用していた、この特定のジャンル呼称(言語表現)と、ホラーとコメディの融合というニッチな構成要素(アイデアの組み合わせ)が、被告作品において高度に符合している点は、偶然の一致として説明することが不自然である。
3. 被告作品紹介文における「新感覚」と符合の矛盾
被告著作物の紹介文において「新感覚」という用語が用いられている事実は、依拠性を評価する上で重要な間接事実となる。
- 「新感覚」の意図: この用語は、一般に「これまでにない、斬新な、ありふれたものではない」という性質を主張する際に用いられる。すなわち、被告側は、自作のホラーとコメディの融合という構成が、少なくとも自らの意図としては「ありふれた表現」ではないと認知していたことが言語記述から読み取れる。
- 原告作品との類似性: しかし、本検証が示す通り、その「新感覚」とされる構成(無視する霊感主人公、ホラー×コメディ)は、3年前に発表された原告著作物と根本的に類似している。
以上の事実を総合すれば、被告側が「新感覚」という用語を用いて自作の構成の斬新さを主張する一方で、その構成が先行する原告著作物と高度に符合している点は、論理的に著しく不整合である。
【小括】
「霊感を持つ主人公」という設定自体は、一般的であり得る。 しかしながら、本比較検証が示す通り、【(1)「霊が見えるだけの無力な主人公による、徹底した無視行為」という特定のキャラクター・物語設定、および「ホラー×コメディ」という組み合わせ】が高度に合致している点、【(2)原告が2015年当時に採用した「ホラーコメディ(ホラコメ)」という、マイナーかつニッチであった言語的キャッチコピーが、被告作品において3年後に言語記述として符合している点】、そして【(3)被告側が「新感覚(ありふれたものではない)」という表現を用いながら、その構成が原告作品と類似しているという矛盾】は、偶然の類似として説明することは困難である。
特に、根本的な設定の高度な一致と、特異な言語表現(キャッチコピー)の一致が、公表から3年という時系列に整合して存在している点は、被告側が原告著作物の特定の構成、およびその紹介手法(言語表現)を認知し、その創作的表現および演出プランに依拠して、自作の設定および紹介を行ったことを強く推認させる客観的証拠である。被告側は、これらの高度な符合について「ありふれた表現」であると主張することは不可能である。
【検証記録2:特定シークエンス(霊能力の露見と接触)における演出・造形および物品描写の高度な符合に関する対照分析】
【主題】
「怪異を無視する主人公が、その動作によって別の能力者に『見える』力を露見させ、接触を受ける」という一連のシークエンスにおける、演出、造形(モンスター)、物品描写(パピコ)の高度な符合に関する整合性検討
原告著作物第5話(2015年発表)および被告著作物(第1巻、第2巻、第8巻、および特典イラスト)における、物語の転換点となる特定のシークエンスについて対照分析を行う。 本検証では、単一のエピソードの一致にとどまらず、【1. シークエンスの導入と露見の手法(無視と避ける動作) → 2. 接触の演出と構図(見えるの?と問う同じ能力者) → 3. 接触時における物品描写(パピコ) → 4. 共通するモンスターの造形(3つの大きな穴)】という、複数のレベルにおける高度な符合について整理・提示する。
1. シークエンスの導入と露見の手法
物語の根本に関わる「霊能力の露見」というシークエンスにおいて、その導入手法が著しく合致している。
- 原告著作物(5話7-8頁): 主人公は、目の前のゴミ箱にいるモンスターを「無視」しようとするが、結果としてモンスターを「避ける動作(そっちに寄ってくれるとありがたいんだけど…と呟きつつ避ける)」をとる。
- 被告著作物(2巻42頁): 主人公は、目の前のゴキブリ(実はモンスター)を「無視」しようとするが、結果としてモンスターを「避ける動作」をとる。
両著作物において、物語を駆動する根本的な設定(無視)と矛盾する「避ける動作」が露見のきっかけとなっており、この表現構造の符合は偶然の一致として説明することが不自然である。
2. 接触の演出と構図
「避ける動作」を目撃した別の能力者による接触と、主人公の反応の演出手法が著しく合致している。
- 問いかけの言語表現:
- 原告: 能力者が「見えるんですか?」と問う(5話8頁6コマ)。
- 被告: 能力者が「お姉ちゃん、見えるの?(見えてたよね?)」と問う(8巻42頁3コマ、43頁1コマ)。 同じ能力者であることに気づく瞬間を言語化する際、特異な問いかけの言語表現が一致している。
- 演出のシークエンス: 問いかけに対する主人公の反応が、以下の通り同一の演出順序(シークエンス)で描写されている。
- 引きの構図: 問いかけてきた能力者の全身が入る引きの構図(原告:5話9頁1コマ/被告:8巻42頁1コマ)。
- 能力者のアップ: 問いかけてきた能力者の顔のアップ(原告:5話9頁2コマ/被告:8巻43頁1コマ)。
- 驚きの描写: 主人公が目を見開き、驚くアップ描写(原告:5話9頁3コマ/被告:8巻43頁2コマ)。
- 驚きの言語化: 主人公が「え……(えっ)」と呟く(原告:5話9頁4コマ/被告:8巻43頁2コマ)。
- 再度聞き返す: 能力者が再度、同じ言葉で聞き返す(原告:5話9頁5コマ/被告:8巻43頁1コマ)。
- モンスターの特徴と言及: 能力者同士だと認識する際、特異な共通の言語的特徴(原告:モジャモジャでボロボロ/被告:でんわ切れって言ってたひと)が用いられている(原告:5話10頁1コマ/被告:8巻43頁1コマ)。 これほど詳細かつ具体的な演出手法および言語表現の符合は、偶然の類似として説明することは不可能である。
3. 接触時における物品描写
シークエンス内において描写される特定の物品および行動が、著しく符合している。
- パピコの描写: 両著作物の当該シークエンスにおいて、主人公がアイスクリーム「パピコ」を所持しているエピソードが描写されている。
- 原告: 主人公が所持(5話6頁6・7コマ、10頁5コマ)。
- 被告: 主人公が所持(アニメ特典イラスト)。 「能力者の露見と接触」というニッチなシークエンスにおいて、なぜ「パピコ」という特異な物品の描写までが符合しているのか、偶然の一致として説明することは困難である。
4. 共通するモンスターの造形
さらに、物語のジャンル(ホラー×コメディ)の核心となるモンスターの造形においても共通点が存在する。
- モンスターの特徴: 両著作物において、「顔に黒く塗りつぶした大きな穴が3つある毛むくじゃらのモンスター」という特異な造形が共通している。
- 被告:3つの大きな穴、3つの大きな穴が共通の問いかけ要素(2巻42頁3コマ、5話8頁3コマ)。
- 原告:黒くシャグシャシャした毛、黒いボロボロ布を纏う、猫背(5話7頁5コマ)。
以上の高度に整合した造形表現は、偶然の類似として説明することは不自然である。
【小括】
「霊感を持つ主人公が無力である」という設定自体は、一般的であり得る。
しかしながら、本比較検証が示す通り、【(1)「霊が見えるだけの無力な主人公が、『避ける動作』によって別の能力者に霊能力を露見させる」という特定のシークエンスおよび演出プラン】、【(2)接触時における同一の演出順序(シークエンス:引き、アップ、驚き、言語表現、再度聞き返す)、言語表現(見えるんですか?)、および特異な特徴への言及】、【(3)当該シークエンスにおける特異な物品描写(パピコ)の一致】、そして【(4)「3つの大きな穴がある毛むくじゃらの顔」という特異な共通するモンスターの造形】に至るまで、独立した複数の創作的要素、演出パーツ、および言語的記述が、時系列的に整合して被告作品において符合している。
以上の高度に整合した視覚的・言語的特徴は、被告側が原告著作物の特定の構成、エピソード、および演出プランを認知し、その創作的表現および演出プランに依拠して、自作の設定および表現を行ったことを強く推認させる客観的証拠である。