裁判の流れ
【立証プロセスの二転三転と不合理な判断の流れ】
- 原告の対応: 漫画表現の本質である「連続した流れ(シークエンス)」を示すため、作品全体の証拠提出を実施。
- 裁判所の要求: 個別コマごとの対照表を作成し、1枚1枚に分解して整理するよう指示。
- 裁判所の判断: 指示通りに分解した結果、「コマごとの単純比較」に分断され、寸分狂わぬ直接的なコピーでない限り侵害と認めない不利益な判断が下された。
- 原告の対応: 第一審の反省を踏まえ、漫画論(手塚治虫著『マンガの描き方』等)や他作品の具体例(同一原作の別作家による漫画化)を交え、シークエンスの重要性を立証。視覚的に比較しやすく顕著な箇所に絞って主張を再構築。
- 裁判所の判断: 今度は逆に「具体的な表現が未特定」「被告著作物全体のストーリーにおける位置付けが不明」として原告の主張を斥け、第一審の判断を維持(控訴棄却)。
- 5. 結論と現状(2026年9月現在)
- 本質的課題: 個別コマへの分解を求められた後に全体像の欠如を指摘されるという論理の破綻により、実質的な漫画表現に向き合われないまま審理が終了した。原告は司法の不平等な判断に対し、最高裁判所に上告・受理申立てを行っている。
→裁判官の判断が二転三転し、原告がどう動いても「負ける結果」しかない不平等な状態であった
【詳細経緯】
第一審において原告は、自作の全体および多数の類似点を示す資料を提出したが、審理の過程で整理・集約を求められ、最終的に侵害主張箇所を25コマに特定した。
原告は、漫画の著作権侵害判断には単一のコマ切り出しではなく、コマの連続による場面展開、情報提示の順序、視線誘導や間の取り方といったシークエンスの検討が不可欠であると訴えた。
控訴審において原告は、手塚治虫の著書『マンガの描き方 似顔絵から長編まで』における映画的漫画論の引用や、同一原作を異なる作家が表現した『薬屋のひとりごと』の比較例を提示し、同一ストーリーであってもコマ割りや構図、演出等の具体的表現は作家ごとに固有のものであると主張した。また、大量の類似点から特に視覚的共通点を確認しやすい箇所を厳選して提示した。
しかし控訴審は、第一審が演出の骨格やストーリーを考慮済みであったと認定した上で、原告が主張するシークエンスのどの具体的表現が再現されているかが未特定であると判断した。
さらに、比較対象として出された被告著作物の部分について、全体が提出されていないためストーリー上の位置付けが不明であるとし、原告の控訴を棄却した。
原告はこの司法判断の是正を求め、2026年10月現在、最高裁判所へ上訴を行っている。