コンテンツに移動します

憎んでいる相手の写真の顔部分を傷つける - 原告「妖異可視ビジブル」被告「見える子ちゃん」の著作権侵害裁判まとめ

原告「妖異可視ビジブル」、被告「見える子ちゃん」裁判まとめ
メニューをスキップ
メニューをスキップ
憎んでいる相手の写真の顔部分を傷つける

【考察:両著作物における「憎む相手の写真の顔部分を物理的に傷つける」演出手法の類似性および被告著作物における状況設定の特徴に関する分析】

原告著作物(第5話30頁6・7コマ)および被告著作物(第10巻36頁1・2コマ、75頁2コマ)における、憎悪や情念の対象となる人物の写真を所持し、その顔部分を物理的に毀損(引っ掻く・ねじる等)して眺める演出手法について、両者のビジュアル・構図の類似性に加え、時代背景および設定上の客観的な文脈の観点から対照分析を行う。

1. 構図・視覚的演出における共通性

両著作物において、憎しみや歪んだ情念を表現するために「写真の顔部分を毀損して片手で保持し、見つめる」という視覚演出が採用されており、画面構成に以下の共通点が確認される。

  • 構図およびアングル(アオリ構図): 下から顔を映し出すアングル(アオリ)で、ハイライトのない目を見開き、無感情な表情で写真を見つめる描写が共通している(原告:5話30頁6コマ/被告:10巻36頁2コマ)。
    ※被告著作物を左右反転・中央アップに補正した場合、顔の傾き、視線の向き、片手で折れ曲がった写真を持つポーズなどの構成要素要素における共通性がより明瞭となる。
  • 写真の顔部分への物理的ダメージ演出: 尖ったものや爪等で引っ掻き傷をつけたり、ねじるように傷を加えて対象の顔を判別しにくくする演出技法が共通している(原告:5話30頁7コマ/被告:10巻36頁1コマ、75頁2コマ)。

2. 被告著作物における時代背景・設定上の特徴(構成上の検討点)

ビジュアル面の共通性にとどまらず、被告著作物において「女子高生キャラクターが主人公の自室から昔のスナップ写真を盗み出し、それを傷つける」という一連のプロット展開には、時代的・客観的な行動様式との関係において以下の検討要素が存在する。

  • デジタル環境下における「紙のスナップ写真」という媒体の選択:
    被告著作物は2020年代(2023年時点)を舞台とし、登場人物はスマートフォンを日常的に扱う「デジタルネイティブ世代」の女子高生として描かれている。被告著作物において提示される写真は「主人公が小学校4年生当時の運動会の写真」と設定されている。2023年から遡った時期(2017年前後)における一般的な生活実態としてスマートフォンやデジタルカメラの普及が進んでいた点を考慮すると、現代の高校生キャラクターが物理的な「紙のスナップ写真」を保管場所から持ち出し、それを手作業で傷つけるというシチュエーションの選択については、設定上の意図や合理性を検討する対象となり得る。

【小括】
原告著作物では「昭和世代の老人が過去の紙写真を傷つける」という設定上の文脈が存在するのに対し、被告著作物では「現代の女子高生キャラクターがアルバムから写真を持ち出し、物理的な紙写真を傷つける」という特徴的なプロットが採用されている。
こうした登場人物の属性や現代の生活様式との対照において特徴が見られるシチュエーション、ならびにビジュアル演出(アオリ構図、ハイライトのない目、写真の顔部分への傷)における共通性は、被告側が独自の表現として独自に構築した可能性のみならず、原告著作物に存在する「憎む相手の写真の顔を傷つけて見つめる」という表現および構図を認識し、それに依拠して描写を行った可能性を検討するうえでの客観的な判断材料になり得るものと考えられる。

関連リンク
【当サイトにおける著作物の引用について】
当サイトでは、記事内容の研究・検証・考察を目的として、第三者の著作物(文章・画像・動画等)を引用する場合があります。引用にあたっては、著作権法第32条その他の関係法令を踏まえ、引用部分と当サイトの記述を明確に区別し、出典を明記するなど、適切な方法で掲載しています。なお、引用している著作物の著作権・肖像権等は各権利所有者に帰属します。
作品名:「妖異可視ビジブル」
著者名: 松尾明日太
発表:2015年~2018年8月



作品名: 「見える子ちゃん」
著者名: 泉 朝樹
発表:2018年9月~
出版社: 株式会社KADOKAWA
掲載レーベル: MFC(MFコミックス)
/ WebComic アパンダ(ComicWalker)
コンテンツに戻る