夜に家の前に立つ女性の描写
原告著作物3話47頁(2016年)
被告著作物8巻10頁11頁(2022年)
【考察:両著作物における「夜間に一軒家の前に佇み、窓を見上げる女性」の空間演出およびコマ割りの類似性分析】
原告著作物(第3話47頁1〜4コマ)および被告著作物(第8巻10頁1コマ〜11頁3・4コマ)における、夜間の住宅街において若い女性が一軒家の前に立ち尽くし、建物の窓を見上げる一連の視覚的構図、アングル、およびコマ割りシークエンスについて対照分析を行う。
1. 視覚的構図および背景レイアウトの共通性
- 夜間の住宅前における立ち姿: 暗闇が広がる夜の住宅街において、一軒家の正面(左寄り)に若い女性が立ち尽くしている遠景の引きアングルが共通している(原告:3話47頁1コマ/被告:8巻10頁1コマ)。
- 建物の配置と遠近感: 建物(住宅)の全景を画面内に収め、その手前道路に佇む女性の後ろ姿・横姿を配置する構図構成に共通点が見られる。
2. コマ割りのテンポ感および視線誘導のシークエンス表現
本シーンにおいては、単なる「住宅の前に立つ女性」という設定にとどまらず、視線を建物から「窓」へ、そして「女性の顔面アップ」へと段階的に寄せていく3段階のコマ割り構成において類似性が認められる。
- 第1段階(全体の引き): 夜間の家の真正面に女性が立ち尽くすロングショット(原告:3話47頁1コマ/被告:8巻10頁1コマ)。
- 第2段階(対象へのフォーカス): 女性の視線の先にある「家の部屋の窓」へ焦点をあて、窓部分を切り取って見せるアングル(原告:3話47頁2コマ/被告:8巻11頁3・4コマ)。
- 第3段階(顔面のクローズアップ): 女性の首から上を画面内に捉えたアップ。ストレートのロングヘアの女性が、画面左斜め上方(窓の方向)を見上げるカット(原告:3話47頁4コマ/被告:8巻10頁3コマ)。
3. 表出手法の対照検証
- 全体の引き構図:夜の家前に立ち尽くす女性(1コマ):夜の家前に立ち尽くす女性(10頁1コマ)
- フォーカス対象:家の2階窓部分(2コマ):家の窓部分(11頁3・4コマ)
- 顔面アップ:左斜め上を見上げる顔面アップ(4コマ):左斜め上を見上げる顔面アップ(10頁3コマ)
- 視線・表情:虚ろな瞳で窓を見つめる強調された瞳で窓を見つめる
【小括】
「夜間に誰かの家の前を訪れる」という一般的なサスペンス・ホラー的状況にとどまらず、「(1)夜の家前に立ち尽くす女性の引き構図」→「(2)目的の窓へと視線を誘導するアングル」→「(3)左斜め上(窓)を見上げる顔面アップ」という一連のコマ割りシークエンスと演出プランに共通性が確認される。
このような特定の視線誘導・カメラワークを組み合わせた段階的演出の共通性は、被告側が原告著作物の該当シーンにおける構図展開およびカット割りの構成パターンを認識し、それに依拠して描いた可能性を検討するうえでの客観的な判断材料になり得るものと考えられる。
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