いじめられている男子中学生が決心し、母親に打ち明ける
【考察:両著作物における「いじめられている男子生徒の苦悩・形見のお守り・自死の意向と母親への相談・解決に至るシークエンス」の類似性分析】
原告著作物(第2話・第5話)および被告著作物(第5巻36頁・47〜52頁/第30話相当)における、「学校でのいじめに苦しむ男子生徒が、形見のお守りや周囲の人物との関わりを経て自死を踏みとどまり、最終的に母親へ打ち明けて解決へ向かう」という一連のストーリーテリング、演出構造、および構成要素の対照分析を行う。
1. 共通する一連のシークエンス構造(展開の共通性)
- 学校でのいじめの被害: 男子生徒が学校でいじめに遭っている状況描写(原告:5話40頁/被告:5巻49頁)。
- 亡くなった人物の形見としての「お守り」: 亡くなった人物の形見として「お守り」が登場し、周囲から渡される/手元にある設定(原告:2話4頁、5話43頁/被告:5巻36頁、48頁)。
- お守りが投げ込まれるトラブル: 形見のお守りが、いじめっ子等によって池や川等の場所へ投げ捨てられる・粗暴に扱われる展開(原告:2話17頁/被告:5巻49頁)。
- 形見(亡くなった人物)の設定表現: 周囲の人物から「形見」であることやその意味について言及・提示される描写(原告:2話4頁/被告:5巻36頁)。
- 連絡先メモの授与と電話連絡: 心配した周囲の人物から電話番号等のメモを渡され、男子生徒が後から連絡を入れる展開(原告:5話43頁、62頁/被告:5巻51頁、52頁)。
- 自死の意向と本気の確認: いじめの辛さから男子生徒が自死を考え、周囲の人物にその本気度を確かめられる/試される展開(原告:5話63頁、64頁/被告:5巻47頁)。
- お守りの存在による踏みとどまり: 形見のお守りを手元で確認することで、自死を踏みとどまり思い直す展開(原告:5話68頁/被告:5巻49頁)。
- 前向きな決意と事態の好転: 男子生徒が「あきらめない」「自分で解決に向けて動く」と前向きな意思を取り戻す描かれ方(原告:5話68頁、69頁/被告:5巻49頁、50頁)。
- 「母親」への告白と決心: 意を決した男子生徒が、これまで隠していたいじめの事実を「母親」に打ち明け、相談する展開(原告:5話68頁/被告:5巻52頁)。
2. 作品規模における構成要素の密集度に関する検討
本エピソードの共通性において検討対象となるのは、両著作物の「全体のボリューム」に対する「一致箇所の密集度」の構成上の特徴である。
- 原告著作物の規模: 全体で約300ページ程度。
- 被告著作物の規模: 第30話(5巻収録)時点で全約700ページにおよぶ連載作品。
- 被告第30話の構成: 約24ページで描かれるオムニバス形式(1話完結)のエピソード。
連載作品である被告作品の中で、約24ページで構成される一話完結のエピソード(第30話)の中に、原告作品(約300ページ)に見られる「いじめ」「形見のお守り」「投擲トラブル」「電話メモ」「自死の意向」「お守りによる翻意」「母親への相談・解決」といった複数のストーリー要素・演出プロットが複数重なって展開されている状況が確認される。
独立した創作過程において、特定の短編エピソード内に他作品の複数の重要シークエンスと同一の展開・構成要素が連続して重複する割合については、客観的な比較対象として考察の対象となり得る。
【小括】
単に「いじめに悩む生徒が立ち直る」という一般的なドラマ構造にとどまらず、「形見のお守りが投げ捨てられる」「連絡先メモでのやりとり」「自死の本気度を確かめられる」「お守りを見て踏みとどまる」「最終的に母親に告白する」といった複数のステップにわたる具体的なエピソード構成および感情の起伏について共通性が認められる。
さらに、被告側の連載全体のうち、約24ページの短編パート(第30話)へ集中して原告作品との共通する構成要素が集積しているという事実は、被告側が原告著作物のプロットや展開構造を認識し、それを短編エピソードとして再構成・依拠して作成した可能性を検討するうえでの重要な客観的材料になり得るものと考えられる。
関連リンク