マスクをしたモンスター
- タイトル: 『不安の種』(※続編作品:『不安の種+』『不安の種*』)
- 著者(作者): 中山昌亮
- 出版社: 秋田書店
- 掲載誌 / 出版レーベル: 週刊少年チャンピオン、別冊少年チャンピオン / 少年チャンピオン・コミックス
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【考察:第三者著作物(『不安の種』)と被告著作物における「マスクをしたモンスター」の絵柄・造形的酷似性および複数回にわたる還用の検証】
比較資料(『不安の種』1巻54頁1コマ[2004年]および被告著作物4巻41頁2コマ[2020年]・8巻47頁3コマ[2022年]、ならびに著作者インタビュー資料)に基づき、描画タッチおよび造形上の詳細な一致点、同一構図・意匠の複数回にわたる使用、依拠性について以下の通り検証・分析を行う。
1. 模写レベルにまで及ぶ絵柄・描画手法および顔面構造の高度な酷似
先行著作物(『不安の種』)の該当コマと被告著作物の描写は、単なるアイデア(マスクを着用した人物・怪物)の一致にとどまらず、線画のタッチや質感表現に至るまで模写されたと見なし得るレベルで高度に符合している。
- 目元の造形・表情: 左目をやや大きく、右目を細めた左右非対称な眼の開口率、ハイライト(光彩)を排した黒目表現、および顔面全体(額等)に細かな斜線を入れて暗がりを表現する作画技法の一致。
- 鼻筋および肌の質感描画: 鼻筋に対し斜線を細かく描き込むことで高低差を強調する手法の一致。
- マスクの意匠・描画: 顔中央から鼻・口元を覆うサイズ感、布地の歪みやシワの線描表現、および表面に施された薄汚れ表現の位置づけ・タッチの符合。
2. 異なる2体のモンスターに対する「2度にわたる同様表現」の使用
被告著作物においては、先行著作物(『不安の種』1巻54頁1コマ)が有する特有の造形・顔面表現が、一度にとどまらず別個のシーン・2体のモンスターに対して繰り返し用いられている。
- 1回目の使用(4巻41頁2コマ[2020年]): 長髪女性型の怪異に対し、先行著作物と同一の目元表現、斜線による陰影、薄汚れたマスク表現を適用して描写。
- 2回目の使用(8巻47頁3コマ[2022年]): 短髪男性型の怪異に対し、正面構図・表情・鼻筋・耳の描き込み・マスクのシワや質感に至るまで、先行著作物の表現を再度再現して描写。
3. 先行著作物に対する認知および依拠の裏付け
被告著作者(泉朝樹氏)は公刊されたインタビュー記事において、「学生時代に中山昌亮先生の『不安の種』を読んだ」「印象に残っている」旨を明確に発言している。これにより、先行著作物の存在および該当作品のビジュアル表現を事前に認識・接していた事実(依拠性)が客観的に裏付けられている。
【小括】
本件該当箇所については、マスクの意匠や配置にとどまらず、左右非対称な目元の開き、ハイライトのない瞳の描写、額や鼻筋における斜線(カゲ・タッチ)の入れ方に至るまで、先行著作物における描画技法との間に相応の共通性が確認される。
さらに、こうした特徴的な描画表現が被告著作物内の異なる2体のモンスター(4巻および8巻)において複数回にわたり反復して使用されている点、ならびに被告著作者自身が『不安の種』の閲覧や認知の経緯について公に言及している点などの事情が存在する。
これらの要素を総合的に考慮すると、被告著作物の該当描写は先行著作物における具体的な表現形式を認識し、それに依拠して制作された可能性を検討するうえでの客観的な判断材料になり得るものと考えられる。
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