医師のセリフを読み取れないようにする演出
原告著作物6話63頁(2018年)
被告著作物8巻30頁~33頁(2022年)
【考察:両著作物における「病院の外観・診察室の構図および医師のセリフを読み取れないようにする演出」の類似性分析】
原告著作物(第6話63頁)および被告著作物(第8巻30頁・32頁)における、病院場面の外観・室内構図、人物の造形・ポーズ、ならびに「医師のセリフ(台詞)を意図的に判別不能にする演出手法」について対照分析を行う 。
1. 病院外観および診察室内の構図・背景描写の一致
- 病院外観の造形: 箱型のビル外壁に「病院の名前」の立体文字が横文字で付与され、文字が角に寄せられている点や、屋根部分の手すりがないデザイン、斜めから見上げた構図処理が共通している(原告:第6話63頁1コマ/被告:第8巻30頁4コマ)
。 - 診察室内のレイアウト: 画面左側に壁があり机をつけて配置している点、左壁にライトボックスが存在する点、奥に通路・窓へつながる入り口がある点など、室内の空間レイアウト構造が合致している(原告:第6話63頁4コマ/被告:第8巻32頁1コマ)
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2. 医師キャラクターの造形およびポーズの一致
診察室に位置する医師の描写において、右腕を机に置いた同様のポーズや、光の反射等で目元が見えないメガネの造形表現が一致している(原告:第6話63頁4コマ中央アップ/被告:第8巻32頁1コマ中央アップ) 。また、患者(人物)が椅子に座った姿を右斜め前から捉えた構図や、その後の動揺する人物のアップ構図の配置まで共通性を有している(原告:第6話63頁2コマ・5コマ/被告:第8巻32頁2コマ・4コマ) 。
3. 医師のセリフを意図的に読み取れないようにする特殊な演出構造
両著作物において、診察場面における「医師の台詞の内容を意図的に読者(または主人公)に聞き取れない・読み取れないように遮蔽する」という極めて特殊なドラマ演出表現が共通して採用されている 。
- 原告側の手法: 物語の核となる手紙の文章を目立たせるため、診察時の病状の台詞を意図的に読み取れない吹き出し・文章表現として処理している
。 - 被告側の手法: 医療従事者の姿をしたモンスターが出現して不鮮明な言葉を発し、人間の医師の台詞に被せることで、主人公(および読者)が医師の台詞を聞き取れない状態を作り出している
。 - 演出コンセプトの一致: 手法(視覚的遮蔽かモンスターによる音声阻害か)に違いはあるものの、「病院の診察室で医師が発している台詞を意図的に妨害・遮蔽し、内容を読み取れないようにする」という演出の根本的なアイデアおよび機能が完全に合致している
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【小括】
病院の外観デザイン、診察室のレイアウト、医師のポーズ・メガネの描画といった視覚的・構図的な連続性にとどまらない 。「診察室において医師の台詞を意図的に遮蔽し、内容を読者に判別させない」という特有の演出コンセプトおよびシークエンス構造の合致は、単なる偶然の一致を超えた表現の依拠性および演出構造の連続性を強力に裏付ける客観的証拠として提示する 。