主人公の友達の設定
被告著作物11巻3頁登場人物「百合川ハナ」(2024年)
原告著作物月間ルーキー賞9位入賞の際、ジャンプ編集部からの評価(2015年)
※1話時点での批評
【考察:両著作物における「主人公の友人キャラクター」の設定・属性および役割の類似性分析】
原告著作物および被告著作物における「主人公の友人」に位置づけられるキャラクターについて、人物設定、行動パターン、ストーリー上の役割に関する対照分析を行う 。
- カメラの所持および「心霊写真」に関するストーリー展開の一致
- カメラの常用:両著作物の友人キャラクターは、共通して日常的にカメラを好み、持ち歩く人物として描かれている(原告:第1話7頁/被告:第2巻74頁)
。 - 心霊写真へのアプローチ: 双方とも「カメラを用いて心霊写真を撮影しようとする(あるいは意図せず撮影してしまう)」という怪異に関わる共通の動機・プロットが割り当てられている
。原告側では「霊が見えないため撮影に失敗する」のに対し、被告側では「霊を引き寄せる体質のため実際に写ってしまう」という展開の差異はあるものの、「カメラでの心霊写真撮影」という特定のフックとなる設定が共通している(原告:第1話8頁/被告:第2巻76頁) 。
- 特定のマスコット・キャラクターの収集癖(稀少品への執着):双方の友人キャラクターは、特定のキャラクターマスコット(原告:無害妖怪シリーズ「黄金ぬっぺっぽう」/被告:ラムダラビット)を熱心に収集する趣味を有している
。さらに「店舗限定」「レア・限定品」といった希少価値の高いアイテムを欲しがり、それを周囲にアピールする演出表現まで共通している(原告:第2話27頁/被告:第4巻27頁・30頁) 。
- 放課後における日常的な行動パターンの共通性:学校生活の描写において、「放課後に友達と甘いもの(スイーツ等)を食べに行こうとする・誘う」という日常的な行動様式や台詞展開が共通して組み込まれている(原告:第6話4頁/被告:第1巻35頁)
。
- 物語構造上の役割(主人公の傍にいることで怪異・モンスターに狙われる展開):当該友人キャラクターは「霊的な危険を伴う主人公の身近に配置されることで、自らもモンスター・怪異のターゲット(被害者・危険に晒される立場)になる」というドラマ上の機能・役割を同じく担っている(原告:第6話87頁/被告:第10巻92頁)
。当該友人キャラクターをターゲットにする怪異は、「生きている人間だが特定の人間に執着し、生霊となり、触手のような怪異が顔にまとわりついていることによって、怪異が見える主人公には顔が見えない」という設定も共通している。
- 友人キャラクターをターゲットとする怪異の特殊設定および展開の一致:怪異や怪物の存在する世界観の中で、当該友人キャラクターは主人公の身近に配置されることで怪異のターゲット(被害者)となる役割を担っているが、その怪異自体の造形・生態設定において以下の高度な共通性が認められる(原告:第6話87頁/被告:第10巻92頁)
。
- 怪異の正体: 双方ともに「死霊ではなく、特定の人間に強く執着する生きている人間が発する生霊」である
。 - 視覚的遮蔽と主人公の視点: 触手状の異形が顔面にまとわりつく(覆いかぶさる)造形処理がなされており、これによって「怪異を視認できる能力を持つ主人公であっても、その怪異の素顔(人間の顔)を判別することができない」という独自のサスペンス演出・設定構造が完全に一致している
。
【小括】
単一の属性(例:「カメラ好き」や「甘いものが好き」など)にとどまらず、「カメラと心霊写真」「特定マスコットの収集癖」「放課後の行動様式」「主人公の巻き添えとして怪異に狙われる劇中役割」という複数の人物設定・エピソード構造が同一の友人キャラクターに重複して集約されている。 このような複数設定の積層的な一致は、アイデアの一致を超えたキャラクター構造の連続性および依拠性を補強する客観的証拠として提示する 。
【考察:原告著作物受賞時の批評内容と被告著作物キャラクター設定における客観的共通性に関する検証記録】
【主題】原告著作物『妖異可視ビジブル』受賞時に公表された編集部批評と、後発の被告著作物『見える子ちゃん』における特定のキャラクター設定(主人公の親友)の類似性、およびタイムラインに基づく参照可能性の検討
原告著作物『妖異可視ビジブル』(松尾明日太 作)が2015年にジャンプルーキー!月間賞を受賞した際に公表された編集部批評、および後発の被告著作物(2018年連載開始)における特定のキャラクター(百合川ハナ)の設定について、客観的な比較検証を行う。 本検証では、単にキャラクター属性が類似している点のみならず、原告作品に対する具体的な改善提案(批評)の内容が、被告作品においてどのように具現化されているか、という点に焦点を当てる。
【各設定・描写およびタイムラインの客観的対照】
1. タイムラインの確認(依拠の可能性)
- 2015年: 原告著作物『妖異可視ビジブル』がジャンプルーキー!月間賞を受賞。編集部による批評(画像2枚目)がWeb上で一般に公表される。
- 2018年: 被告著作物『見える子ちゃん』が発表される。キャラクター「百合川ハナ」が登場(画像1枚目)。
2. 原告著作物受賞時の編集部批評と改善提案(画像2枚目)
編集部は、主人公が「霊が見えてしまう」孤独な状況に対し、以下のようなキャラクター配置の改善を具体的に提案している。
- 現状分析: 主人公の独白が続き、うまく活かせていない(ドキドキや笑いが足りない)。
- 改善提案(キャラクターの対比): 「また対象的な明るい女の子がいるので会話を活かしたキャラ表現も一つの方法かと思います。」
つまり、編集部は「消極的な主人公と対照的な明るい女の子を配置し、会話によって状況を改善する(笑いを誘う等)」という、明確なキャラクター配置と表現のプランを提案している。
3. 被告著作物におけるキャラクター設定の具現化(画像1枚目)
被告著作物に登場する主人公の親友キャラクター「百合川ハナ」の設定画(画像1枚目)には、以下の記述が認められる。
- 性格(画像1枚目・右上): 「天真爛漫でスーパー元気、そして食欲旺盛なムードメーカー。」
- 体質: 化け物を引き寄せる体質だが、強い生命オーラで影響なく生活している。
4. 分析:批評内容と具現化されたキャラクター設定の整合
両著作物のキャラクター造形および編集部批評の内容を比較すると、以下の客観的事実が認められる。
- キャラクター属性の合致: 原告作品の批評で提案された「対照的な明るい女の子」という属性が、被告作品の「天真爛漫でスーパー元気なムードメーカー」という親友キャラクターの設定において、正確に具現化されている。
- 物語上の役割(対比構造)の一致: 両著作物ともに、主人公は「霊が見えてしまう」ことで精神的に圧迫され、孤独になりがちな状況に置かれている。これに対し、被告作品の親友キャラクター(ハナ)は、その性格によって、編集部が提案した通り、主人公と「対照的な存在」として、物語に明るさや(本人の意図せぬ形での)笑いや安らぎをもたらす役割を担っている。
- 表現プランの合致: 編集部が提案した「会話を活かしたキャラ表現」が、被告作品においては、主人公とハナの天真爛漫な(しかし主人公だけが化け物を認知している)会話によって、ホラーコメディというジャンルそのものを成立させる重要な表現手法として取り入れられている。
【小括】
「霊感を持つ主人公に対し、天真爛漫な親友キャラクターを配置する」という構図自体は、ホラー・コメディ作品において一般的なアイデアの範囲となり得る。
しかしながら、本比較検証が示す通り、【(1)公に公表された原告作品の批評内容(主人公と対照的な明るい女の子の配置)】、【(2)そのプランを具現化した被告作品のキャラクター設定(天真爛漫でスーパー元気な親友)】、および【(3)両著作物におけるそのキャラクターの役割と表現手法(会話による笑いや緊張の緩和等の演出)】に至るまで、複数の創作的要素および演出手法において共通性が認められる。
特に、批評内容に含まれる「対照的な明るい女の子」という言語的な提案と、被告作品における「天真爛漫でスーパー元気」というキャラクター設定との間には相応の類似性が確認される。
これらの要素を総合的に考慮すると、被告側が公表された原告著作物の批評内容およびキャラクター構成に関する記述を認識し、その演出プランを参照したうえで自作のキャラクター設定および表現を行った可能性を検討するうえでの判断材料になり得るものと考えられる。こうした造形および役割における共通性は、原告著作物の構成案に対する依拠性を検討するうえでの客観的な事情の一つになり得るものと考えられる。