友達がいるのかを聞くセリフ、演出
【考察:両著作物における「『友達がいるか』を問いかける対話シーン」の会話展開、演出手法およびコマ構図の類似性分析】
原告著作物(第5話21頁4コマ〜22頁5コマ)および被告著作物(第10巻127頁3コマ〜129頁2コマ)における、登場人物同士が公園・広場等の背景のもとで「友達がいるか」を問いかけ、自身の境遇を省みる対話シークエンスについて、会話のロジック、セリフの記述表現、およびコマ割りのアングル表現の観点から対照分析を行う 。
1. シークエンス構造および会話展開の高度な一致
- 背景演出(公園・広場で遊ぶ人々を眺める構図): 放課後、公園(広場)で仲良く遊ぶ子供や学生たちの様子を、背中を向けて(あるいは佇んで)眺める人物の構図からシーンが開始する。右奥に樹木が生えている。(原告:5話21頁4コマ/被告:10巻127頁3コマ)
。 - 問いかけのセリフの一致: 一方が他方に対し、「〔登場人物名〕は友達いますか?」という形式でストレートに問いかける(原告:「藤浪さんは…友達いますか?」/被告:「…遠野先生は友達いますか?」)
。 - 控えめな応答表現(3点リーダーの多用): 問われた側が、台詞冒頭に「…(3点リーダー)」を置いた控えめな語り口で回答する(原告:「…うん。少ないけど。」/被告:「…一応」)
。 - 問いかけた側の自己開示(「友達がいない」): 質問した側の人物自身には友達がいないという事実(原告:「僕にはいません。」/被告:「…」および「へえ…いいなあ」等の対比)が明示・示唆される
。 - 横顔アングルによる内省的モノローグ・語り: 左向き(あるいは右向き)の横顔アップで、自分自身の事情や心理状態を振り返り・吐露する構図演出が合致する(原告:5話22頁3コマ/被告:10巻129頁1コマ)
。 - 話を聞く側のそっけない助言・応答: 発言を聞いた側のキャラクターが、そっけなく一言で返答・アドバイスを行う(原告:5話22頁4・5コマ/被告:10巻129頁2コマ「考えてみては?」)
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【小括】
「友達の有無を尋ねる」という対話自体は、一般的なドラマのワンシーンとして想定され得るものである。
しかしながら、本該当シーンにおいては、「(1)放課後に公園・広場で遊ぶ人々を背景に置く導入」→「(2)同形態の問いかけ(『〇〇さんは友達いますか?』等)」→「(3)3点リーダーを伴う控えめな応答」→「(4)左向きの横顔アップによる内省的な語り」→「(5)聞き手による短文のそっけない返し」という一連の会話の流れ、演出表現、およびコマ割りのアングルに連続した共通性が認められる。
こうした会話ロジックと視覚的カット割りの共通性は、単なる偶然の一致にとどまらず、被告側が原告著作物の該当対話シーンにおける演出パターンおよび画面構成を認識し、それに依拠して描いた可能性を検討するうえでの客観的な判断材料になり得るものと考えられる。
さらに重要な客観的事実として、本該当シーンが含まれる被告著作物は、原告が著作権侵害に関する内容証明郵便を被告出版社(株式会社KADOKAWA)へ正式に送付した2023年5月以降に制作・発表されたものであるという経緯が挙げられる。
2023年5月の内容証明送付により、被告側は原告著作物の存在およびその具体的な表現内容を確実に認識・把握できる状況にあったと見なせる。そのような認識可能な状態となった後に発表されたシーンにおいて、上述のような複数の段階(導入・セリフ構成・カット割り・表情演出)にわたる共通性が集積している点は、被告側が原告著作物を認知したうえでその表現を参照・依拠した可能性を客観的に裏付ける、極めて重要な判断要素になり得るものと考えられる。