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葬式の描写 - 原告「妖異可視ビジブル」被告「見える子ちゃん」の著作権侵害裁判まとめ

原告「妖異可視ビジブル」、被告「見える子ちゃん」裁判まとめ
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葬式の描写

原告著作物5話60頁61頁(2016年)
被告著作物10巻71頁(2024年)
漫画の技法(圧縮)
詳細情報
【考察:両著作物における「葬式の描写」における演出手法・構図の高度な類似性と「表現の圧縮(コマの統合)」技法に関する分析】

原告著作物(第5話60頁〜61頁)および被告著作物(第10巻53話1頁/53話1コマ〜4コマ)における、保護者の死亡に伴う葬式(告別式)シーンの演出構造、視覚的レイアウト、カメラワーク、および「漫画における情報の圧縮(複数コマの短縮化)」技法について対照分析を行う。

1. シークエンス構造および視覚的演出の一致

  1. 遺影の構図・配置: 額に入った遺影を画面真正面(アイレベル)から捉え、コマの中心に配置する。左右に白い百合の花が飾られているビジュアル構成が共通(原告:5話60頁5コマ/被告:10巻53話1コマ)。
  2. 周囲の参列者による死因の説明(吹き出しの配置): 参列者たちが死亡した保護者の死因や状況を噂・会話するセリフ(説明セリフ)を、コマの両脇・画面左右に吹き出しとして配置する画面構成が合致(原告:5話60頁5コマ/被告:10巻53話2コマ)。
  3. 遺族の子供の顔面アップ(口元・目の表情): 首から上のアングルで、かたく閉じた口元や虚ろな目元をアップで捉える。目元にかけて暗いグラデーションやクマ(焦燥感・絶望感の演出)を重ねる手法が合致(原告:5話61頁1・2コマ/被告:10巻53話4コマ)。
  4. 立ち尽くす遺族の孤立感演出: 立ち尽くす遺族の子供をコマの中心に配置し、周囲の参列者に余計な描き込みを加えず白く描くことで、集団の中での「孤立感・途方に暮れる心理」を際立たせるレイアウト手法が共通(原告:5話61頁3コマ/被告:10巻53話3コマ)。
  5. 保護者の死亡による「強い決意」: 保護者を失った絶望の極限状態から、登場人物が「自分が救わなければ/守らなければ」という強い意志・決意を胸に抱く内面的展開が合致(原告:5話61頁4コマ/被告:10巻53話4コマ)。


2. 「漫画の圧縮(ページの凝縮)」技法による依拠性の解明

本件対照分析において特筆すべきは、原告が2ページ(複数コマ)にわたって段階的に描写した演出シークエンスを、被告が1ページ(あるいは1コマ)へ効率的に凝縮(圧縮)している点である。
  • 原告著作物の展開(2ページにわたる展開):
    • 60頁:遺影と参列者の声(周囲の状況説明)
    • 61頁1コマ:口元のアップ(感情の抑制)
    • 61頁2コマ:目のアップ(絶望・焦燥)
    • 61頁3コマ:引きの構図で立ち尽くす姿(孤立感)
    • 61頁4コマ:決意を秘めた表情とモノローグ(決意)
  • 被告著作物の展開(1ページへの圧縮): 被告側は、原告側が2ページを費やして構築した「遺影」→「参列者の噂」→「引きの孤立感」→「口元・目のアップによる決意」という一連の心理・状況描写のプロット構造を1ページ(53話)の中にそのまま配置・統合(圧縮)している。

【コマ圧縮の視覚的検証】
原告著作物における「口元を中心とした顔下部のアップ(61頁1コマ)」と「目元を中心とした顔上部のアップ(61頁2コマ)」の2つのコマを縦に統合・圧縮すると、被告著作物(53話4コマ)における「顔全体を捉えた1枚のアップ構図」と完全に一致する。
これは、漫画表現において後発の制作者が既存作品の演出(複数コマのシーケンス)を取り込む際によく見られる「情報の圧縮」の手法であり、原告著作物のカット割りや演出構成を元にして、それを効率的に1ページ内に再レイアウトした(依拠した)ことを如実に示す構造的証拠である。


3. 画像の重ね合わせによる「顔の輪郭線」の一致に関する検証

さらに、キャラクターの顔面アップを描いた該当コマ(原告:61頁1・2コマ統合/被告:53話4コマ)の比較検証画像において、双方の画像を重ね合わせた際、顎から頬にかけての「顔の輪郭線」のラインおよび傾き(角度)が精緻に一致する状態が確認される。
単に「登場人物の顔を正面からアップで描く」という一般的な構図の選択にとどまらず、輪郭線という描画の基礎的ラインが重なり合っている点は、偶然の作画の一致を超え、原告著作物の画面構成や描画ラインを認知・参照したうえで作画が行われた可能性を示す客観的な裏付け材料になり得るものと考えられる。


4. 制作時期に関する客観的経緯(認識・依拠性の裏付け)

特筆すべき客観的事実として、被告著作物の当該シーン(第10巻第53話)が描かれた時期に関する経緯が挙げられる。
本件において原告は、2023年5月の時点で被告出版社(株式会社KADOKAWA)に対し、著作権侵害に関する内容証明郵便を正式に送付している。したがって、少なくとも2023年5月以降においては、被告側が原告著作物の存在およびその具体的な表現内容を確実に認識・把握していた客観的状況が存在する。
本該当シーンは、この内容証明郵便の送付(2023年5月)よりも明確に後の時期に制作・発表されたものであり、被告側が原告著作物の具体的な演出構成や作画表現を認識した状態で作成されたことを示す極めて重要な客観的経緯であるといえる。

【小括】
「葬式」という場面設定にとどまらず、「真正面からの遺影と左右の百合」「両脇に配置された噂話の吹き出し」「白く描かれた参列者の中での孤立感」「虚ろな目元と口元のアップによる表現」「保護者の死に伴う決意のモノローグ」という一連の演出パーツと視覚的レイアウトが同一の順序で配置されている。
さらに、原告が2ページ(全10コマ)を用いて描いたシークエンスを、同じ構成要素を保持したまま1ページ(全4コマ)へと「圧縮・統合」している構造、重ね合わせによって認められる「顔の輪郭線の一致」。そして何より原告からの内容証明郵便受領(2023年5月)以降の制作という客観的経緯は、被告側が原告著作物のコマ割り・演出プラン・描写ラインを直接的に認識し、それに依拠して作成した可能性を検討するうえでの極めて重要かつ客観的な判断材料になり得るものと考えられる。


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作品名:「妖異可視ビジブル」
著者名: 松尾明日太
発表:2015年~2018年8月



作品名: 「見える子ちゃん」
著者名: 泉 朝樹
発表:2018年9月~
出版社: 株式会社KADOKAWA
掲載レーベル: MFC(MFコミックス)
/ WebComic アパンダ(ComicWalker)
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