逆光になった人型のモンスター
- タイトル: 『不安の種』(※続編作品:『不安の種+』『不安の種*』)
- 著者(作者): 中山昌亮
- 出版社: 秋田書店
- 掲載誌 / 出版レーベル: 週刊少年チャンピオン、別冊少年チャンピオン / 少年チャンピオン・コミックス
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【考察:第三者著作物(『不安の種+』)と被告著作物における「逆光になった人型のモンスター」のシルエット・演出表現およびシチュエーション・構図の類似性の検証】
比較資料(『不安の種+』2巻24頁2コマ・25頁5コマ[2008年]および被告著作物1巻108頁1コマ・108頁2コマ[2019年]、ならびに作中状況および著作者インタビュー資料)に基づき、表現手法上の詳細な共通点、シチュエーション・画面構成の符合、ならびに依拠性について以下の通り検証・分析を行う。
1. 逆光演出およびシルエット・ライティング技法における共通性
両作品における該当シーンは、単なる概念的なアイデア(寝室に立ち尽くす人物・怪異)にとどまらず、以下のような具体的かつ特徴的なライティング技法およびシルエット表現において相応の共通性を有している。
- 完全なシルエット化(漆黒の影): 逆光によって顔面全体に強い黒い影が落ち、目・鼻・口などの顔パーツの詳細が判別できない黒塗りとして描写される表現手法の共通性。
- 両側からの輪郭反射光: 全体を黒塗りとしつつも、両側から薄い反射光が当たることで頭部・髪・輪郭のラインのみが白色(白抜き)で浮かび上がって見えるライティング・エッジライト表現の符合。
- 不気味さの演出手法: 人物の顔が見えず、その正体が特定できない状態を作り出し、逆光によって全体を覆うことで雰囲気を強調する視覚効果の類似性。
2. 遭遇シチュエーションおよびカメラアングル(構図)の符合
- 出現状況・動作の共通性: 登場人物が就寝・寝床にいる状態の際に現れ、寝ている登場人物の顔を上から覗き込む演出・構造上の共通点。
- 前後のコマにおける配置関係: 前後のコマにおいて、登場人物の枕元に人物・怪異が立ち尽くす/覗き込むシーンの構成および画面作術の類似性。
- 背景要素の配置: モンスター(人物)の背景に天井が位置し、横方向にはカーテン等のインテリアが配される室内配置・アングルの共通性。
3. 先行著作物に対する認知および依拠性に関する検討要素
被告著作者(泉朝樹氏)は公刊されたインタビュー記事において、学生時代に中山昌亮氏の『不安の種』を閲覧し「印象に残っている」旨を公に述べている。
先行著作物(『不安の種+』2巻)に存在する「就寝中の枕元を覗き込むシチュエーション」「黒塗りの顔面」「両側からの反射光による輪郭線の浮き彫り」という特徴的な画面構成・ライティング表現の複合体が被告著作物1巻(2019年)において再現されている点、ならびに先行著作物への閲覧・接触の言及事実を考慮すると、被告著作物の該当描写は先行著作物の具体的な表現形式を認識し、それに依拠して作成された可能性を検討するうえでの客観的な判断材料になり得るものと考えられる。
【小括】
本件該当箇所については、寝床にいる登場人物を覗き込む場面設定や構図にとどまらず、顔全体を黒く処理しつつ両側からの反射光によって頭部・髪の輪郭ラインのみを白く浮かび上がらせるライティング・描画技法に至るまで、先行著作物(『不安の種+』)における視覚的表現との間に相応の共通性が確認される。
こうした複数の視覚的・構造的要素における共通点に加え、被告著作者自身が先行著作物への接触や認知の経緯について公に言及している点などの事情が存在する。
これらの要素を総合的に考慮すると、被告著作物の該当描写は先行著作物における具体的な表現形式を認識し、それに依拠して再現された可能性を検討するうえでの客観的な判断材料になり得るものと考えられる。