首が長く体の中央に口のあるモンスター
- タイトル: 『ベルセルク』(BERSERK)
- 著者(作者): 三浦建太郎(※2021年5月以降の連載・監修表記:スタジオ我画/描画:森恒二)
- 出版社: 白泉社
- 掲載誌 / 出版レーベル: ヤングアニマル / ジェッツコミックス(現・ヤングアニマルコミックス)
メディアミックス化(2021年)
- タイトル: 『見える子ちゃん』
- 著者(原作): 泉朝樹
- 監督: 小川優樹
- 出版社(原作): KADOKAWA
- アニメ制作会社: Passione(パッショーネ)
- 製作幹事・権利元: 「見える子ちゃん」製作委員会
【考察:第三者著作物(『ベルセルク』)と被告著作物におけるモンスター造形の類似性および描写的妥当性の検証】
比較資料(『ベルセルク』13巻103頁右上[1997年]および被告著作物1巻12頁/7巻巻末設定画[2020年])に基づき、造形上の共通点、背景となる描写の必然性、ならびに依拠性の観点から以下の通り検証・分析を行う 。
1. モンスター造形および視覚的特徴の顕著な一致
両作品に登場する怪異・モンスターは、以下の特異な造形的特徴を高度に共有している 。
- 頭部・首部の形状: 男性器を模した特徴的な輪郭を持ち、首にあたる部分が細長く伸びて前方に垂れ下がる構造
。 - 顔面および胴体の器官配置: 伸びた先端部に目や口などの顔面様構造を配する一方で、首の根元にあたる胴体中央部にも大きく開いた人間の口(歯・歯茎の描写を含む)が存在する特殊な解剖学的配置
。 - 骨格・筋肉表現: 首の根元から肩にかけての筋肉の盛り上がりや、肩部から人型の腕が生えている形態的意匠の一致
。
2. 描写的文脈・必然性(ストーリーテリング)の相違と不自然さ
- 先行著作物(『ベルセルク』): 当該シーン(13巻「蝕」)は、作中における重要な転換点であり、仲間の生贄化やヒロインが魔物に性的加害を受ける劇的文脈に基づく
。そのため、性器を模した造形や性的な脅威を連想させる意匠にはストーリーおよび演出上の強い必然性が存在する 。
- 被告著作物: 当該モンスターは女子高校の女子トイレという日常的空間に突如現れる怪異として描かれており、前述のような性的なモチーフや特異な器官配置を採用する文脈上の必然性が認められない
。これは、作品固有の展開から必然的に導き出された表現ではなく、先行作品の造形的特徴を文脈を伴わずに抽出・転用した疑いを強める要素となる 。
3. 被告側による先行著作物への接触・影響の存在(SNSでの明言)
被告著作者(泉朝樹氏)は自らのSNS上において、「ベルセルクから多大な影響を受けました」「ベルセルクの模写した画像が残ってるはず」等と発言しており、先行著作物である『ベルセルク』に対する日常的な閲覧・模写・依拠の事実を自認している 。
【小括】
本件モンスター描写については、解剖学的にも特徴的な造形要素(頭部の形状、胴体中央の口、筋肉および肢体の構造等)において相応の共通性が認められる。
先行著作物においては文脈上の意図や必然性をもって創出された表現であるのに対し、被告著作物における該当描写の配置や文脈上の位置づけ、ならびに被告著作者自身が先行作品からの影響や模写の経緯について言及している点などの事情が確認される。
これらの要素を総合的に考慮すると、被告著作物の該当描写は『ベルセルク』における具体的な創作的表現を認識し、それに依拠して再現された可能性を検討するうえでの客観的な判断材料になり得るものと考えられる。